O嬢の物語

人を愛したいという人と愛されたいという人がいますが、あなたはどちら?
主人公のO嬢は恋人を強く強く愛します。
そして、究極の試練を通して、愛し続けます。
ただし、その試練は第3者によるものではなく、当の恋人に与えられるのです。
恋人はO嬢を嫌って試練を与えるのではありません。
O嬢を愛しているからこそ試練を与え、そしてO嬢は愛されていると実感しながら、さらに自らの愛を表現するように試練を受け入れるのです。

O嬢の物語は非常に有名なので、名前を聞いたことがあるかもしれません。
特に冒頭の部分はとても有名なのですが。。。O嬢の内面まで紹介される機会は少ないのかもしれません。
作者はドミニク・オーリーという女性だそうです(発表当初匿名だったため、『眠り姫、官能の旅立ち』ほど明確ではない)。
そのためか性行為の描写は非常に淡白なのですが、O嬢の心のゆらめきが上手く表現されています。
この物語を理解するためには、聖女が神による試練を受けて苦しむことを尊く美しいことだと感じ、死に至るような試練すら神に感謝する、というキリスト教の価値観を思い出す必要があるのではないでしょうか。
実際、小説の中でもO嬢の恋人への気持ちは敬虔なキリスト教徒が神からの試練を幸福に感じるように、と紹介されています。
そして鞭は具体化された試練なのです。
小説の中に鞭が出ると毛嫌いする女性も多いとは思いますが、この物語では試練として見ましょう。

冒頭でO嬢は恋人ルネとともにタクシーに乗り、そこで下着を脱ぐよう命令されて、目隠しをされ、両手を縛られます。
O嬢はそれまでとは違うルネの様子に戸惑い運転手の視線を気にしながらも、彼に強く求められていることを感じます。
しかしルネはそれ以上手を出さず、さらにどこかの邸宅(ロワッシーの館)の前で降ろし、自分も後ですぐ行くから、ここの人たちの言う事を守りなさい、と伝えて去ってしまいます。
O嬢が心細く感じていると、すぐに邸宅から2人の女性が現れ、O嬢を邸宅に招き入れて裸にし、鍵付きの皮の首輪と手枷をつけます。
手枷は普段は2つに分かれているものの、首輪とともに鉄の輪が付いていて、その輪を繋げることですぐに両手を拘束したり、首輪に繋いだりすることが可能になっています。
さらにO嬢に赤いミュールを履かせ、両手を後ろに回して拘束すると図書室に連れて行きます。
図書室に入るとO嬢はすぐに目隠しをされ、そこにいる男達の視線を浴びて自分の体の感想を議論しているのを聞きながら、どこも隠せない状態で羞恥の中を立たされ続けます。
男達に弄ばれだしても従順に従っていると、男達の中からルネの声が聞こえてようやくO嬢は恋人がその中にいることを知りました。
恋人の前だからといって抵抗することもできず、O嬢は男達に代わる代わる何度も犯され続けます。
O嬢は恋人以外に犯されても感じないことこそが自分の受けている試練だと思うのですが、どれが恋人のものかも分からず、輪姦のように扱われ犯され続けるうちに普段より強烈に感じ、達し続けてしまいました。
ようやく輪姦から解放され目隠しを取ってもらい、ルネに体を優しく撫でてもらいながら、O嬢は自分を犯した男からロワッシーの館での生活のルールを聞かされます。
館では男がその気になったらいつでも女を犯して良いし、鞭で打つことすら自由であること、女には一切の拒否権がないこと。
女は決められたワンピースを着て、わずかに下を向いて男の顔を見てはならないこと、服従の証として口を僅かに開き、お尻の下に服を敷いてはならず、膝を閉じてもいけないこと。
一般的な女性なら、絶対拒否する内容のルールです。
でも、不条理なルール、奴隷のような扱い、複数の男性に共有されること、支配されることに魅かれる女性にとっては、一般の女性とは異なる感想を持つことでしょう。
恋人に優しく体を撫でながら聞かされたルールを、O嬢は拒絶したいという気持ちは湧いてきませんでした。
恋人がO嬢を占有することより共有すること、服従させることを望んでいるのは明白なのです。
O嬢は恋人に「愛してる」と囁くことで、全てを受け入れる意思表示をしました。
話が終わり寝室に連れて行かれようとするO嬢に、ルネはフェラチオを要求します。
皆に見つめられている中、O嬢は二人だけの時よりはるかに熱心に口づけし、舌を這わせ、口に入れ、さらに喉の入り口まで使ってルネを喜ばせようとします。
ルネに「愛してる」と囁かれ、髪や耳を撫でられ、O嬢はますます熱心に愛を語るように唇と舌を使い続けます。
ロワッシーに来るまでより、ずっとルネのことを愛しく感じ、男根も愛しく、舐める舌や唇にも熱がこもるのです。

O嬢に割り当てられた部屋に連れて来られると、両方の手枷と首輪の輪を繋ぎ、それをベッドの正面の壁に鎖で繋がれ、毛布を掛けられて一人取り残されました。
両手を祈るような格好に拘束され身動きできない状態で、今日起こったことを回想します。
O嬢の心の中には、この状況に対する反発などの感情は浮かんできません。
こんな状況に陥れた恋人を恨むのではなく、恋人以外の手や性器で感じてしまったこと、さらに二人っきりのセックスよりはるかに強く感じてしまったことを申し訳ないと感じるのです。
フェラチオも普段はそれほど熱心でなく、時には拒否したことがあるのに、今日は彼の男根がとても愛おしく、自然と熱心に舌を這わせ、唇を動かしていました。
O嬢はロワッシーの館に来る前よりずっとルネのことを愛していることに気づくのです。
そして彼の望むままにこれから彼以外の男達にも犯されることを意識します。
恋人のいる前で言い渡されたルール、犯され鞭打たれるという将来に恐怖を感じると共に、胸の奥に甘い疼きを感じ、股間を慰めることができないことすら辛いと感じます。
そしていつしかO嬢は眠りにつきました。

翌朝、鎖に繋がれたままのO嬢のところにルネが現れ、抱きしめて愛を囁きます。
O嬢は目隠しされた状態で男達に犯されたのに感じてしまったことを詫びるのですが、ルネは犯される時も鞭打たれる時も他の男達は自分の代わりと思いなさい、と諭しました。
さらに、これ以降館を出るまではO嬢とセックスしない、他の男達が自分の代わりになる、と宣言するのです。
O嬢は本当に自分が共有物になることを実感し、せめて最後のセックスは強く抱きしめながらして欲しいと頼みますが、ルネはO嬢を俯かせ、お尻を高く掲げさせ、後ろから挿入してゆきます。
O嬢は両手首と首輪を鎖に繋がれた不自由な格好で、それでもルネを深く受け入れました。

館での生活は下着はつけず、渡されたワンピースだけを着て過ごします。
それはウエストが苦しいくらいピッタリした、背中ファスナーの海緑色のワンピースで、アンダーバストまでは締め付けて胸を押し上げているのに、肝心の乳房は白いレースで縁取るだけで一切隠しません。
ワンピースはくるぶしまであるのに、前と後ろにお臍のあたりの高さまでスリットが入り、少し動くだけでスリットが開いて中が見えてしまいます。
さらにスリットの横にボタンがあり、スリットを10センチほど拡げて固定することもできます。
乱れたワンピースの裾を手で直すことも禁止されていたので、ちょっとした動作にもスリットができるだけ開かないよう注意しなければなりませんでした。
普段左右の手枷の鉄輪には何も繋がれず自由に過ごせるのですが、それでも時折拘束のために首輪や壁などに繋がれます。
そして男達は自由気ままに女達を犯します。
最初は何の前触れもなく犯していると思われたのですが、やがて男達のちょっとした身振りを見てすぐに女が足元に跪いて性器を口に含み、ソファーに横になって男を受け入れ、床に伏せてお尻を高く掲げ、あるいは自分を打つための鞭を用意することに気づきます。
O嬢は他の女達と同じように犯され、鞭打たれました。
そんなO嬢をルネはO嬢を頻繁に四つん這いにさせてお尻や太腿などの鞭の跡をチェックし、鞭の跡が増えていると喜び褒めました。
そのため、鞭で打たれること自体は苦痛なのですが、それをルネにチェックされる時は誇らしい気持ちを感じるのです。
一方でルネはO嬢とのセックスを求めることも、鞭打つこともなく、O嬢が他の男に犯されても平然としています。
それに対しO嬢は、ルネにフェラチオを要求されると愛の全てを表現しようとするように熱心に丁寧に唇と舌を使います。

O嬢がロワッシーの館に来て何日か経った頃、O嬢のアヌスを拡張しようと主張する男が現れました。
ルネ自身はアヌスでのセックスには興味なかったのですが、拡張に合意します。
もちろんO嬢には選択権はなく、O嬢のお尻に黒く滑らかで細い棒を挿入し、細い鎖で固定されて外せなくされました。
O嬢はお尻の穴の違和感を常に感じながら生活しなければならなくなったのです。
しかも、毎日少しずつ太くて長い棒に交換されてゆきます。
夜、ベッドで両手の腕輪と首輪を鎖でつながれて毛布をかけられると、その日の出来事を思い出すとともに、アヌスの違和感と向き合わなければならなくなります。
目を閉じると、お尻のところで体の中に入っている棒の形や大きさを、そしてどう体の中に埋まっているかをまざまざと想像してしまいます。
徐々に棒が太いものに交換されるにつれ、O嬢の感じていた違和感は体の奥深くを支配されているような感覚に変わっていきます。
普段の生活でも、何もしていない時に、あるいはふとしたはずみに体の奥に埋まっている棒の様子を生々しく想像してしまいます。
そして体の中心を支配されていることを意識しているうちに、目を伏せ、唇をわずかに開き、膝を閉じないことが自然な事に感じられるようになってきました。
それはO嬢が全てを受け入れる気持ちになってきた表れでした。
性器に男根を迎え入れると、薄い皮越しに棒と擦りあって、その感覚に激しく悶え狂ってしまいます。
鞭で打たれても、痛みで反射的に体を動かすと棒が体の中をかき混ぜるのを実感し、狂おしい気持ちになってしまいます。
恋人以外の男性を迎え入れるために自分の体を改造されていると実感します。
目を閉じた時に浮かび上がるのが体の奥に埋まる黒い棒から、O嬢にアヌスの拡張を求めた男の性器に変わってきました。
O嬢のフェラチオは誰に対しても丁寧だったのですが、その男に対しては特に熱心に舌を這わせるようになってきました。
そしてO嬢のアヌスが十分拡張されたことを確認すると、いよいよその男を迎え入れることになりました。
ルネをはじめとする大勢の前でお尻を高く掲げ、まるで処女のように震えながら男を迎え入れます。
異質の感覚に悶えるO嬢を見て、別の男は性器に、また別の男は口に挿入し、ますますO嬢を狂わせてゆきます。
O嬢はルネに見られていることを忘れて悶え、何度も何度も達してしまいました。

O嬢が男性を受け入れることを自然に感じられることを確かめると、ルネは用ができたということで館から去ってしまいました。
一人取り残されたO嬢は男達に犯され続けるうちに、体はいつでも男を迎え入れられるようになります。
するとO嬢は中世の牢獄のような地下室に連れて行かれ、毛布の上でほとんど身動きできないよう鎖で両手の腕輪と首輪を繋がれて放置されます。
窓は一切なく、小さく暗いランプが1つあるだけ、そして床にパンと平皿に汲んだ水だけの空間です。
O嬢はあっというまに時間の感覚を失います。
パンと水はO嬢がうとうとと寝ている間に交換されました。
地下室に入ってくるのはO嬢を犯すか、鞭で打つ時だけ、それもその直前に使いの者が入ってきて目隠しをするので誰に犯され、打たれたのか分かりません。
O嬢は誰かが来るのを待ち続け、体を開いたまま、鞭で打たれることすら待ち焦がれるようになってしまいます。
何日過ごしたのか全く分からないうちに、突然O嬢は地下室から解放されました。
そしてルネとともにロワッシーの館から帰ることになったのです。

ロワッシーの館から帰る時に変わった形の鉄製の指輪を渡され、それを常に身に付けるよう命じられました。
館を出ても自由になる訳ではなく、ショーツを身につけることを禁じられ、唇を僅かに開き、膝を閉じず、ズボンや捲りにくいスカートも禁じられ、椅子に座る時はスカートを敷かずにお尻を直接椅子に付けて座るよう命じられます。
さらに、渡された指輪の秘密を知る者に対しては、いついかなる時も、絶対に体を捧げなければならない、と。
ルネの見守る前で、O嬢はその命令を受け入れます。

ロワッシーの館から帰ると、O嬢はルネから着れなくなった服を全て捨てるよう命じられます。
残してよいのは前開きのブラウスかワンピースのようなすぐに胸を出すことのできる服、捲りやすいスカートのみです。
O嬢はファッション関連のフリーのカメラマンだったのですが、職場に復帰すると周りの人々がO嬢の雰囲気が変わったと感じました。
常に唇を少し開けて何かを受け入れるように、視線を少し伏せ、仕事の時もプリーツスカートを穿き、誰かに見られている時には椅子に座ろうとしません。
ルネを求める気持ちは館に行く前よりずっと強く、それだけにルネに会う時は本当の幸せを感じました。
やがてルネはステファン卿という人物を紹介します。
彼はルネにとって非常に重要な友人なので、何もかも完全にルネと同等以上に接して欲しいと要求します。
ルネだけのものでいたいと思っていたO嬢は、それでもそれを受け入れ、自らの所有者が二人であること、二人は自分に対する全ての権利があることを宣言します。
O嬢はステファン卿に命じられるままソファーの前に跪き、上半身をソファーの座面に預けてお尻を高く掲げ、スカートを腰まで捲り上げてお尻を完全に丸出しにします。
それを見届けるとルネは帰ると言い出し、ステファン卿も見送りに出て行きました。
一人部屋に取り残されたO嬢は、続けるよう命じられた訳でもないのにその姿勢を崩そうとしません。
自分の意思でその姿を続けることが辛く恥ずかしく、拘束したり命令された方がどれほど幸せかと思いながら、それでも新しい支配者が何を求めるかを優先しました。
ステファン卿は部屋に戻ってきても、しばらくは後ろのソファーに座ってタバコを吸い、褒めるでも笑うでもなくO嬢を無言で眺めます。
O嬢は一刻も早くそのまま後ろから犯されることを、それが難しくても鞭で打たれることを心の底から望むのですが、ステファン卿は落ち着いて観察を続けます。
ようやく声をかけてもらったと思ったら、リラックスしているステファン卿の前で服を脱ぎ、体を差し出すよう命じられるのです。

ルネはステファン卿こそO嬢の真の所有者であり、彼に全てを捧げるようO嬢に求めます。
O嬢はルネをどこまでも愛していましたが、同世代ということもあり、対等な関係の延長としての愛でした。
一方ステファン卿はO嬢にとって支配者そのものです。
ルネが振るわない鞭でもステファン卿は平然と使用し、O嬢を屈服させます。
O嬢の体の全てを使います。
ステファン卿のちょっとした身振りで何を求めているかを察して、自分から捧げるようになります。
やがて、O嬢はルネの望む通り、規律・肉体だけでなく、心までステファン卿の支配を受け、彼を愛するようになっていきます。

ステファン卿は、O嬢に一生消えない刻印を要求します。
大陰唇に穴を開け、ステファン卿の紋章を刻印した大きく重いメダルを絶対外せないように取り付けます。
また、お尻には大きくステファン卿のイニシャルの刻印を施すのです。
O嬢は二つの刻印に絶対的な誇りを感じるようになります。
それはO嬢が苦痛の試練を乗り越え、人生の全てを捧げ、どこまでも支配されていることを示す証拠なのです。

話が少し戻って、ジャクリーヌはO嬢のお気に入りのモデルです。
単なるお気に入りという枠を超え、O嬢の大切な女性となり、やがて体を接する関係になります。
一方、ステファン卿とルネはジャクリーヌがロワッシーの館に行くように仕向けるようO嬢に命じ、ルネがジャクリーヌと親密になってゆきます。
O嬢がメダルと刻印を付けた体をジャクリーヌに見せ、ロワッシーの館の話をすると、ジャクリーヌは見に行きたい、と言い出します。
しかし、ロワッシーの館では、単なる見物は許されません。
ジャクリーヌも男達に共有されるのです。

O嬢達は夏のバカンスで南仏の別荘を訪れました。
O嬢、ステファン卿、ルネ、ジャクリーヌ、そしてジャクリーヌの15歳の妹のナタリー(この小説ではナタリーのみ年齢の記載があります)。
ナタリーはすぐO嬢の行動に疑問を持つようになります。
薄着のため服に浮かび上がるO嬢のシルエットがとてもセクシーでありながら、下着のラインが全く浮かび上がりません。
椅子に座る時はスカートの後ろを捲り、お尻を直接椅子に付けます。
ステファン卿がリビングのソファーに座る時は、O嬢だけステファン卿の前の絨毯の上に、スカートを丸く拡げて座ります。
ある時、ステファン卿の愛撫を受けていたO嬢をナタリーが偶然見かけ、そしてO嬢の体の秘密を知ります。
二人っきりの時にナタリーにその理由を尋ねられたO嬢はそれ以上追求されることがないようにと本当のことを告げるのですが、逆にナタリーはO嬢の境遇に強く魅かれることになってしまいました。
O嬢から相談を受けたステファン卿はナタリーの処女を奪うことはおろか、触ることも禁じるとともに、O嬢の全てを見せるよう命じます。
ナタリーは、ステファン卿とのセックスではベッドのすぐ横に跪き、どのように出し入れしてO嬢がどんな反応をするかを見ます。
従順に鞭を取りに行き、お尻を捧げ、そして苦痛に悶えるO嬢の表情を間近に見ます。
本来なら使うはずの無い器官を犯され、激しい快楽に悶える様子までも見ます。
そしてO嬢がどれほど従順か、どう支配されているかを確かめると、ますますO嬢を尊敬し、敬愛し、憧れます。
ナタリーはO嬢の側を片時も離れず、O嬢がリビングのソファーで休んでいたりするとO嬢の前に跪き、色々な話を聞きたがります。
ロワッシーの館での出来事や指輪・ルールのこと、メダルや刻印のことなど。。。
O嬢が恋人の望み通りに色々な体験をし、恋人にこれからの人生の全てを捧げたのに対し、ナタリーは自分から男達の共有物となり、屈服し、支配されたいと切望します。
そして見知らぬ男達の共有物となる証であるO嬢の指輪に、ナタリーはキスを繰り返すのです。

O嬢達はある邸宅のパーティに呼ばれることになり、その準備のため街に買い物に出かけることとなりました。
O嬢はゆったりとしたプリーツスカートとブラウス、ナタリーはゆったりとした薄手の真っ白なワンピースに下着をつけずに外出しました。
ナタリーとしては背伸びしたい気持ち半分、いたずら心半分だったのですが、街中の中心の広場に来るとステファン卿に広場の入り口で服が透けるように立っているよう命じられます。
ヨーロッパの旧市街によくある建物の間の円形の広場で、何件ものレストランが広場にテラス席を出しており、多くの人たちが行き交い、休憩しています。
ステファン卿はO嬢とともにレストランのテラス席に座ると、ナタリーは日向と日陰の境目の、地面や壁に反射した太陽の光が服を透かして体を浮かび上がらせる場所を選んで立ちます。
真っ白なワンピースの中でナタリーの体が浮かび上がります。
ボディラインはおろか、乳房も乳首も、股間の様子まで浮かび上がり、数分もすると広場にいる人々全員の注目を浴びます。
ほとんど何も隠せていない姿を注目され、隠したく、そして逃げ出したくなる気持ちを我慢し、初めて命令されているという実感を感じながらも、ナタリーはできるだけ多くの人が見やすくなるよう立ち続けます。
そんな中、ステファン卿は時々思い出したようにナタリーを見るのですが、それ以外は食事をしたりO嬢と話したりして、なかなか見てくれません。
ナタリーはもっと見て欲しいという気持ちでいっぱいになり、少しでも長くステファン卿に見ていてもらおうと、より透けやすいようにポーズや立ち方を工夫します。
そして、命令されていること、大勢の見知らぬ人々に見られていることに限りない充実感を感じるのです。

パーティー会場ではO嬢は裸のままふくろうの仮面を被り、メダルには太く重い鎖を付けて参加します。
その鎖はナタリーが持ち、O嬢を引っ張って行くのです。
会場ではO嬢は彫刻のようにじっと動きません。
O嬢はそのメダルと鎖、そして刻印に限りない誇りを感じ、堂々としています。
そしてその鎖を持つナタリーの方がずっと緊張してしまいます。
鎖を付けてもらい、O嬢とともに大勢の客の中を引き回される自分の姿を想像してしまうのです。

その後、O嬢もジャクリーヌもナタリーもロワッシーの館に行くことになりました。
O嬢はステファン卿に連れられて、それより前にジャクリーヌがルネに連れられて。
しかし仕事の都合でまだまだ先のことになります。
一方のナタリーは、パーティーの翌朝にはたった一人で送られることになりました。
館に着いたら知らない男にバージンを奪われ、力ずくで従わされ、お尻の穴も拡張され、体中を好き勝手にされることになります。
それでもナタリーは、ロワッシーに向かうタクシーの中でこれから起こることに期待するのです。

「眠り姫」が運命に弄ばれながら服従の悦びを感じるのに対し、O嬢の試練に対する姿勢は対照的に感じられます。
また、O嬢が恋人からの試練を受け入れて人生を捧げるのに対し、ナタリーは自分の意思で男達に共有され、支配され、体を自由にされることを望みます。
O嬢よりナタリーの気持ちに共感する女性も多いのではないでしょうか。

一方でこちらも和訳がイマイチです。
文学的表現は直訳しても良い文学的表現になるとは限りませんから。
故・千草忠夫訳の本はそのあたりをかなり改善しているのですが、途中までしか訳されてませんし。

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